なぜゆえに「基本」が大切なのか?(その1)

みなさん、テレビなどで、有名なヴァイオリニストや天才少年、少女、といわれる子供が、

華やかな難曲を軽々と弾きこなしている姿をご覧になったことがあるかと思います。

ここでありがちなのが

「ああいう人たちって、才能があるから、すぐにああいう難しい曲が弾けるんでしょ?」

と誤解してしまうことなんです。

 

身体の動きに関して言えば、スポーツ選手を思い浮かべてみれば、ご想像がつくと思いますが、

たとえば、体操の内村航平選手ですね。

E難度やG難度の技を美しく決めて、世界最高峰であるオリンピックの舞台で、

2度も金メダルを獲得しました。

確かに持って生まれた身体能力はあるのだと思います。

でもその「才能」だけで、基本となる筋トレなどを全くしないで大技に挑めたでしょうか?

もちろん違いますよね。

 

またフィギュアスケートの浅田真央選手だって、トリプルアクセルを決めるために、

走りこみなどの基礎練習、身体の軸を確認するための1回転ジャンプから練習しています。

 

楽器の演奏だって同じことなんです。

いきなり高度なテクニックを身に付けることなんて、誰にもできないのです。

自分が納得できる演奏をするためには、やっぱり基本から身体に覚えこませていくしかないのです。

単純な基本練習から、自分の身体に対する感覚を研ぎ澄ませ、

身体を強化し、自在にできるようにするということなんですね。

 

わたしが師事していた、今は亡きルジェーロ・リッチ先生は、それこそ天才少年ということで華やかなデビューを飾り、
ソリストとして70年にわたる活動を続けました。

(詳しくはこちらhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%81)

 

わたしが習っていた頃にはもう、80歳を超えるご高齢でしたが、

それでも人間業とは思えない演奏技術を見せてくださいました。

余談ですが、パガニーニのカプリスやバッハの無伴奏曲、

数々のコンチェルトやソナタ、小品などヴァイオリンの主要な曲は、

その当時でも全て暗譜していらっしゃいました。

 

その先生の口癖がやはり

「一日二時間、音階練習(基本練習)をしなさい」ということだったのです。

また「基本ができていれば、曲は弾ける」ともおっしゃっていました。

実際のところ、先生ご自身が、空いた時間さえあれば音階練習をされていたのをわたしは目撃しています!

 

凡人は基本練習をしなければならず、才能ある選ばれた者は、

段階を踏まずして高度なことに取り組めるということは、ないのです。
みんな基本練習をやっているんですね!

 

次回は、「趣味でヴァイオリンを弾く場合にも基本は大切なのか?」をテーマにブログを書きます。