ヴァイオリン入門セット 5社製品試奏

ヴァイオリンを習い始める場合に、皆さんが気にされるのはなんと言っても、

どんな楽器(価格、メーカー)を買ったらいいのか?ということではないでしょうか。

 

お子さんが始める場合には、成長によるその後の買い替えがあったり、

製品の種類も限られたりしているので、そんなには悩まないかもしれませんが、

大人の初心者で始める場合は、選択肢が広くなる分、お悩みも少し深くなるかもしれません。

そこで今回わたくし、伊藤楽器弦楽器工房に、フルサイズの入門セットの試奏に行ってきました!

 

お店のスタッフのお話によると、初心者で始める楽器としては、10万円以下のものが売れ筋とのこと。

5社製品(5台)を用意していただき、まずは価格情報を伝えられない状態で、試奏してみました。

 

エントリーナンバー1

ん、ちょっとグリップが太め。

弾き込んでいない「新品」状態なので、すんなりとは音が出てこない。

しばし重音音階を弾いてみると、音が出てきましたぞ。

が、ちょっとまだ楽器の状態がつかめない。

取りあえず、次!

 

エントリーナンバー2

あれ!?音が出しやすい!

G、D線ともに響きますな!

鳴らしやすいですねぇ。

なんかいい感じ!

で、次!

 

エントリーナンバー3

ラベルにSuzukiのマークが見えてしまった(笑)。
うーん。よくある初心者用のSuzukiの音色ですね。

前の2台に比べると、音量は控えめで内に籠ったような音色。

はい、次に行きます。

 

エントリーナンバー4

Suzukiに比べると、音色は少し外に向かったような感じですが、

音量はそんなには変わらないかな。

で、次に行きます。

 

エントリーナンバー5

見た目が一番いい感じ。

なんかオールドっぽい。これが一番お高いやつなのかな?

寸法比率もしっかりしてそうだし。

と思って弾いてみたのですが、音色、音量としては

ナンバー2より下、というかSuzukiと大差ないかも。

あれ?意外。

 

と、ここで値段の種明かしをしていただきました。

 

1.Karl Höfner カール・ヘフナー:ドイツの老舗メーカー

  ヴァイオリンセット ♯100 (本体、ケース、弓、松脂)

  税別10万円

 

2.Ars Music アース・ミュージック:入門セットに特化したチェコのメーカー

  アウトフィット 024(本体、ケース、弓、松脂、肩当)

  税別9万5千円

 

3.Suzuki 鈴木バイオリン

     アウトフィットNo.230(本体、ケース、弓)

  税別6万円

 

4.Reghin レジン:ルーマニアのメーカー

  セット(本体、ケース、弓)

  税別7万円

 

5.Nicolo Santi ニコロ サンティ:中国のメーカー

  セットNSN64(本体、ケース、弓、松脂、肩当)

  税別6万5千円

 

値段で大別すると、1、2のグループと3、4、5の2グループに分かれますね。

3、4、5は、グレードで言ったら、そんなに差を感じませんでした。

5千円、1万円のグレードの差。うーん。

この中で選ぶとしたら、もう好みですかね。

 

お店のスタッフもおっしゃっていましたが、

同じメーカー内でそれだけの金額の差がある場合は、グレードの差も感じ取れるけど、

メーカーが違う場合は、そこまでの差を感じ取るほどではないと。

ただ、前者のグループと後者のそれでは、やはりグレードの差を感じました。

 

カール・ヘフナーは、さらに試奏しているうちに、もっと弾き込んでいけば、

音量も音色ももっと上がってくるのではないか?

と期待できました。

アース・ミュージックは、お値段の割にいい感じ!

5台弾いた中では、その時点での音量は一番でした。

お客さんの中には、最初にSuzukiを考えていて、やっぱりアース・ミュージックにする、

と購入を決断する人もいるそうです。

 

購入基準としては、

前者グループ:やはりリーズナブル!

後者グループ:前者グループよりお高めだけど、グレードは明らかに上!

と言ったところになるのではないでしょうか。

入門セットでも、上に挙げたメーカーの中でもまたグレードの違うもの、

他のお店では、違うメーカーのもの、と楽器の選択肢は、実はまだあります。

大事なのは、購入する際にネットではなく、お店の人に直接説明を聞いて、

商品に対する責任を持ってもらうこと、

またその後のアフターケア体制が、整っている状態であるということだと思います。

 

聞いたお話によると、

ネットで激安のものを購入して、

それが修理の仕様がないほどひどい状態だった(もともとが正しい製法で製作されていない)、

などということもあるようです。

 

その後の安心や、楽器に対する愛着を考えたら、

やはりお店の人と対面で購入するほうがいいでしょう。

以上、入門セットについてのレポートでした(笑)!