先月、朝日新聞の文芸欄に、ギタリストの荘村清志さんの連載がありました。
その記事の中で、これはヴァイオリンの練習にも通じる!と思ったものがあり、
自分の練習に反映させ、また生徒さん達にもお伝えした物があります。
このブログでもご紹介したいと思います。
荘村清志さんは、お若いころに、巨匠ナルシソ・イエペス氏に師事されていましたが、
ある日、レッスンに行くと、机の上に貝殻が30個ぐらい置いてあったそうです。
何のためにあるのか聞いたところ、難しいパッセージを練習するときのために使うという。
つまり、貝殻を少し遠い所に置いて、課題のパッセージを一回弾くごとに、
ひとつずつつまんで手前に置く。
同じパッセージをやみくもに弾き続けると、余計な力が入ってしまうので、
弦から指を離し、貝殻をつまんで移動させることで、力を抜き、いちいち身体を零の状態に戻す、
ということだったのだそうです。
この記事を読んだ時、なるほど!と思いました。
今日のうちに、この部分を弾けるようにしたい、など時間の制約があると、
つい、むきになって、楽器をずっと弾きっぱなし状態になりがちです。
そうすると、身体が硬い状態で弾き続けることになるので、少ない種類の筋肉しか使わなくなります。
なので、身体の動きが根本のところでは鈍くなり、また痛みを伴いやすくなります。
何十回も弾き続けるのではなく、一回ごとに脱力する方が、実は、身体の中に技術が入るスピードが早いことに、自分でもやってみてわかりました。
翌日に疲れも残りにくいのです。
レッスン時に、生徒さんにもそのようにやってもらったところ、明らかに、音色のクオリティの向上が早かったです。
こまめこまめに脱力をする。
これ、とっても大事です!!
早く上手くなります。
連載の途中の記事で大ヒントをもらえたのですが、
巨匠ナルシソ・イエペスの真意は、単に身体のことだけではなく、
実は、もっとずっと深い所にありました。
次回に続きます。