最近レッスンをしていて、「なんでできないんだろ?」とか「練習していて自己嫌悪に陥る」
といったことを言う生徒さんが何人かいたので、とても気になり、
「自分へのダメだし」を今日のブログのテーマにしてみました。
うまくなりたい!という気持ちが強いと、自分自身に厳格になり、自分の演奏の欠点がとても気になってしまう、
ということはよくあることだと思います。
わたし自身も、本番前などに録音したものを何度も聞いては、良く弾けていないところをチェックして、楽譜に書き込み、演奏をより良くしようと努めます。
なので、自分の演奏にがっかりするという気持ちはよくわかります。
ただ、講師という立場でその場面を見たときに気づいたのが、
「できない」とか「自分は出来が悪い」というふうに、自分自身に低評価を下していると、
気持ちや考え方、また身体全体がきゅっと固くなって、却って吸収が悪い状態になる、ということなのです。
いつも前向きにレッスンを受けている生徒さんが、そのようなネガティブな状態になった時に、
普段よりも勘が冴えないような感じになっていたので、「あれ?」と思いました。
一生懸命にやっているからこそ、自分に厳しくなってしまうのですが、自己否定や過小評価をすると、
実は、自分が願う方向とはずれてしまうのです。
ここで、気を付けたいのは、自分の現状の演奏技術を客観的に判断することと、
自己否定することは違うということです。
つまり、例えば「今、自分はここの音程が正しく取れていない」というのと
「正しく音程が取れない自分は、出来が悪いんだ」という考え方は、全く別ということです。
そして、後者の考え方は誰に対しても全く必要がないものです。
理想の演奏がしたいと、理想とのギャップに現状の自分を否定したくなります。
ですが、そこで「否定」という考え方を取るのではなく、
ここを乗り越えたら、一歩理想に近づくんだ、という「肯定」の考え方をしたほうが、
気持ちも明るく、技術の取得も早いです。
実際に、今まで教えてきた生徒さんで着実に進んだのは、自分の演奏を過大評価も過小評価もせず、公正評価して、
演奏の欠点は認めつつも自己否定をしないタイプの人たちでした。
一言でいうと、評価に対しても、自分自身に対しても「素直」な人たちです。
理想の演奏への一番の近道は、自分をけなさず、レッスンでのアドバイスに素直に従って練習に取り組むことです。
繰り返しになりますが、「自分へのダメ出しは」一切必要ありません。