オーケストラ部の指導 その3

前回の続きです。


「さっさと曲の難所を指導してほしい」

という要望を持つ人に、まずはその個所を弾いてもらう、ということで

弾いてもらうと、たいていの場合楽譜がわかっていません。

わかっていない、というのはリズムや音程のことです。

当然ながら、それに付随してどういうフィンガリングにするか、弓のどの場所で弾くべきか、

といったことは、まるで頭の整理ができていない・・・。

 

ヴァイオリンに限らず楽器の演奏において、頭でわかっていなくて、

指が勝手に正しく動いてくれることはないです。

 

楽譜に書かれているリズムがわかっていない生徒が複数いる中で、

合奏ばかりやっている部活も普通にあるようですが、

ここからして部活の指導方針に無理があると思います。

 

個人レッスンで、リズムがわからない箇所をピックアップして教えているだけで、

一コマ分のレッスンが簡単に終わってしまうことはざらにあります。

 

次に音程ですが、正しい音程そのものがわからない生徒はたくさんいます。
厳しく正しい純正律の音程が分かる生徒は、ほとんどいないと思われますが、

プロのようにそこまで求めなくとも、さすがに臨時記号が付いているんだか、

付いていないんだかわからないようなめちゃくちゃな音程で弾いていて、
「一週間後に本番です」

なんて来られると、その本番の意義を疑いたくなってしまいます。

そして

「チューナーを使って練習しています!(だから合っています)」
みたいな人もよくいますが、

専門教育を受けた人間からしたら、絶句です。

 

チューナー=平均律

平均律→平均に汚くした音程

です。

 

音程が分からないから指針として使うのでしょうが、要は、合っていない音程です。

何の音を弾いているのかわからないような音程よりは、数段マシですが、

それだったら、純正律に合わせたシールを指板に貼るほうが、ずっといいです。

 

ため息の嵐ですが、これってその部活の生徒が悪いわけではないんですよ。

むしろ仲間とまじめに取り組んで、悩みながらやっている子がほとんどです。

だから、個人レッスンの門を叩くのだと思います。

 

申し訳ないけれど率直に言うならば、部活内で大人がきちんと指導できないのに、

生徒任せで練習させざるを得ないシステムに問題があるのです。

 

次回に続きます。