オーケストラ部の指導 その4

学校内で、オーケストラの団員として参加することができる!
それ自体は否定しません。

またうまくいけば、それはとても理想的なことです。

なぜならば、個人としては楽器に手を出すのに少し勇気がいるけれど、

仲間と同時にトライできるなら、その敷居は下がりますし、

また学校内で楽器の無償貸し出しでもあれば、さらに始めやすいからです。

 

しかし!

今まで部活で困った上に、当教室に入った生徒に聞くと、

部活内の指導はやはり無理があるな、と思わざるを得ませんでした。

 

軽く例を挙げてみると、

・顧問の先生に、パート譜を暗譜で弾けるようにして、その試験に合格しなければならないと言われた。

個人指導してみると、そもそもその生徒は、楽譜のリズムが分かっていないし、自分の音程が正しいのかどうかの判断ができていない。

「暗譜する」より前にまず、基本中の基本を教えなければならないのだが、

恐らく顧問の先生は、弦楽器での音程の取り方を教えることができないのだろう。
(専門教育を受けていなければ、それは仕方がないことと言えるが)
そうでなければ、指導の順番を間違えないはずである。

(パート譜を完全に暗譜しているプロもあまりいないと思う)

 

・近隣の高校との合同練習で、指揮者の先生が、まだ入部したばかり(2か月ほど)の中学一年生(未経験者)に
「ヴィブラート!」と指示を出していた。

無理強い極まりない指導。

その段階では、ほとんどの場合、楽器を構えたり弓を正しく持つのも覚束ない状態。

あくまで想像になるが、その状態で無理な要求をされたら、生徒本人が悩んでしまわないだろうか?

 

本当に失礼な言い方になることは重々承知していますが、上記の例は、わかっていない人の指導例ですね。
無理強いするだけではなく、生徒に奏法の変な癖をつけてしまいかねません。

 

ただ、日本の「部活指導」というものは、先生方にも多大な負担をかけていることは間違いありません。
通常の専門業務に加えて、専門外のことを担当しなければならないからです。

そこで、最近では体育系の部活に関して、専門家にお願いする傾向が強まっているようです。


体育系だけか?と思っていたら、吹奏楽部に関しても(以下の)

 

文化庁は、公立中学校の休日の部活動を校外の団体などに委ねる「地域移行」を円滑に進めるため、文化部活動の中でも、休日の練習などが多い吹奏楽部について、指導者や場所の確保に独自の課題があることをふまえた支援を行う方針を明らかにした。

文化庁の有識者会議は、文化部活動の地域移行に向け、来年度から3年間を改革集中期間とする提言をまとめた。吹奏楽部は、数十人が同時に演奏できる場所の確保が難しいことや、楽器ごとに演奏方法が異なるために指導者が多数必要なことなど、学校以外の場で活動するには独自の課題が多いことが指摘されていた。このため文化庁は、吹奏楽関係の団体と今後協議して、課題を検証するためのモデル事業を通じて、必要な支援策を検討することにしている。

 

という新聞記事を読みました。

吹奏楽部に比べてオーケストラ部というのは、全国的に数が少ないと思われますが、

先生の負担を減らし、生徒がもっと専門的な指導を受けることができるように、

吹奏楽部同様に専門家団体とリンクできるようになるといいなと切に思います。