今回の題名は、読者の方には「?」という感じかもしれません。
実はこれは、小学一年生の生徒の保護者の方が、伝達してきた言葉です。
まだ幼く、集中力が持続しづらい子に、「厳しく接してもらっても大丈夫です!」ということだと解釈し、甘やかさないで、しっかりお願いします!という、親御さんの望みとしてとても立派だと思いました。
ただ、これを生徒さんが伝えてきたとき、わたしはこう言いました。
「お母様のお考えは正しいと思うよ。でもね、もし、先生が怖いからとか、先生が怒るから練習頑張るとなったら、それは本物じゃないよ」
レッスン中にある程度の緊張感は必要だと思います。
また、怖い先生の言うことを聞かせるというのは、短期的には上手くいくかもしれません。
しかしながら、それは本質から外れています。
とても根気が必要ですが、
やみくもに恐怖を強いられるレッスンではなく、
生徒本人が興味を持って講師のアドヴァイスを理解し、自宅練習でのやる気をも喚起する指導がとても大切です。
なので、レッスン中に生徒の態度がどうにもよろしくないな、とか、理解が悪いなという、
(傍で聞いておられる保護者の方が心配されるような)指導困難な状態になった時は、
わたしはまず、生徒本人に気持ちや、その原因を聞いてみることにしています。
つまらないのか?難しいと思うのか?何か心配なことがあるのか?
意外にも、どんなに幼くても、たいていの子は自分の考えを述べることができます。
その回答から、次にどのようなアドヴァイスをしたらいいのかを考えますが、
生徒側の考えを聞いてみることで、指導の道筋がとても立てやすくなります。
よくあることですが、幼い子供の場合は、大人が思いもよらないような不安を感じていたりするので、
ちょっとしたヒントでできるようになったり、レッスンがうまくいく場合があります。
生徒が思うようにうまくいかない場合に、頭から叱りつけるのではなく、相互理解し、
まずは信頼関係を築くことが、演奏技術の取得や、習い事を通した生徒の人格形成のための最重要事項になると思います。
当教室では目先の最短指導方法ではなく、本質に根差したレッスンを目指しています。